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美の構成学―バウハウスからフラクタルまで (中公新書)

美の構成学―バウハウスからフラクタルまで

この本について

タイトル 美の構成学―バウハウスからフラクタルまで
著者 三井秀樹
出版社 中央公論社
ページ数 202

なぜこの本を読んだのか?

仕事上、いろいろなものをデザインすることが多いので、デザインの基本となる構成や、またその歴史・背景について知りたいと思い購入してみました。

気になった・印象に残った点

デザインの基礎はヨーロッパからアメリカへ

今から約100年前にドイツで誕生した「バウハウス」というデザイン学校。そこで生まれたデザインや建築の基礎が現代にも根強く残り、人々の生活に取り入れられているということがわかります。(「バウハウス」で検索すると、建築事務所や注文住宅等、設計関連の会社がたくさん出てきますね。)
NIKEやAppleなど、洗練されたデザインのプロダクトを多く生み出してきた企業がアメリカだったため、デザインの基礎・ルーツはアメリカと思いがちでした。その理由は、当時のナチスの影響・圧力により、バウハウスがアメリカへ移り、IITやMITで受け継がれているからなんですね。この本を読んでヨーロッパで様々な手法、規格などが作られてきたことを知りました。
また、産業革命によりデザインを無視した工場生産のプロダクトに反対した画家や工芸家が「アーツ・アンド・クラフト運動」を起こしたことも印象的でした。利益やコスト削減によるデザインを重要視しないという風潮・考えはいつの時代もあるのかな?そこでお互いをうまく調和し、すぐれたデザインの工業製品を生み出すために「アーツ・アンド・インダストリー」という考えが生まれたんですね。

色彩、光、触覚も構成学

構成学と初めに聞いたときは、レイアウトやバランスなど、あくまで平面の世界の話かと思っていました。しかしバウハウスでは、色や光、触覚も構成学として重要視し、感性を養うものとしていました。その中でも、特に色彩に関しては、隣接する色やそのバランス、接地面積や形も、見る人に心地よさを与える要因になると知り、勉強になりました。
(先日、日本ではセブンイレブンとトンボ鉛筆の消しゴムが色彩商標として、初登録されましたね。)



形式原理はあくまで目安、必要十分条件ではない!

黄金分割という、1:1.618の法則はデザイン業界ではよく知られています。はるか昔に発見されたこの法則を用いて、様々な芸術作品や建築が作られたそうですが、それらが全て美しかったかというと、そうでもなかったそうです。確かにこの比率・法則を用いて作られたモノは美しく見えますし、自分でも使いたくなるのですが、黄金比率を用いれば何でも美しくなるわけではないんですね。
また、著者の方が言うように、整数である「55:89」も覚えやすいかもしれません。名刺のサイズも55mm×91mmと、この比率に似ていますし。
美の原理、つまり「なぜ美しく見えるのか?」という原理には、ちゃんとした理由があり、黄金分割以外にも、シンメトリーやルート矩形など、この世の中には様々な法則でできた美しいモノで溢れているんですね。

構成学では統一(ユニティー)が重要

それぞれの形、色に統一感を持たせる。色であれば、色相の彩度は低めなのか高めなのか。形であれば、四角や円、または角丸で統一するのか、などなど。同じ形が並んでいたり、連続していると安心するそうです。ここをいかに統一感を持たせられるかが、人が美しいと思うポイントとなるわけなんですね。なので畳や障子、市松模様や千鳥格子など、昔からの日本家屋は美しく見えるのでしょう。また、日本独自の紋様が海外のデザイナーにも影響を与えているというのは日本の誇るべき部分だと思います。

装飾する喜び

古代の土器など、はるか昔からある生活用品に、すでに装飾があったことから、人間は本来装飾が好きだったとありますが、これは日本人に特に感じます。スマホケースからトラック(デコトラ)まで、日本人のデコレーション能力は相当高いと思います。ファッションセンスに関しても、海外のシンプル系に比べて、アクセサリーやバッグ、服の柄やイラストにいたるまで、装飾(装飾品)が多くないですか?

構成学は生活美学

構成学は特別な専門的分野ではなく、日常生活のありとあらゆる場面で活用されているとのこと。服の着こなしを考えたり、インテリアを選んだり。デザイナーやそうした職業の人でなくても、常日頃センスを発揮する場面に直面しているということですね。確かに写真を撮る時もそうですし、生地の手触り、髪型などいろいろありますよね。
また、このセンスはそれなりの教育を受けた人でなくても、逸品や「世間で高い評価を受けているモノを見る」という行為によって、磨くことができるそうです。これはセンスに限らず、何にでも当てはまりますよね。プロスポーツ選手のプレーを見る、職人さんの手さばきを見る。常に一流を見て学ぶということなんですね。日々勉強します!

まとめ

「構成学」は平面上の話ではなく、空間、光、色、触覚、テクスチャーなどの幅広い範囲すべてに当てはまるということがわかりました。また、バウハウスについて知れたのが一番の収穫です。
それにしてもタイトルにもある「フラクタル」の説明がなかなか出てこなくて焦りました。。。結局最後の最後に説明があり、「全体と部分が相似形」ということだそうです。これだけだと、なんなのことかサッパリわかりませんが、要するに「俯瞰(引き)で全体を見ても、寄って一部分を見ても形や模様が似ている」ということみたいです。また、そういった不定形な造形がコンピューターによって表現することが可能になっていることにも驚きでした。

今回の「なるほど、そうだったのね」

Futura(フーツラ)フォント。ウェブデザイン等でもよく使われるフォントですが、これもバウハウスの思想によって作られたものだったんですね。他にもセリフ系からサンセリフ系が生まれたりと、普段なにげなく見ているものがこの時代に多く作られ、現代にも受け継がれているんですね。

▼Gigazineさんにこんな記事がありました
ナチスに禁止されながらもアポロ11号と月面まで到達したフォント「Futura」

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突如「本を読まなければ!」と思い、毎月最低1冊は読むことを決意。そしてこのブログにその本の感想も書くことに。仕事はWeb関係で、好きなジャンルは、経済、金融、投資、科学、アート、デザイン、IT、教育などなど。買う本は1,000円以内と決めています。おすすめの本があったら教えてください。

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