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やさしい行動経済学 (日経ビジネス人文庫)

やさしい行動経済学 (日経ビジネス人文庫)

この本について

タイトル やさしい行動経済学
著者 坂本達哉、大垣昌夫、竹内幹、松井彰彦、玄田有史、山田昌弘、白石小百合、近藤隆雄、服部泰宏、 小野善生、黒田祥子、山本勲、依田高典
出版社 日本経済新聞出版社
ページ数 272

なぜこの本を読んだのか?

最近よく聞くようになった?「行動経済学」というワードにつられて購入してみました。安易ですが、経済学についても多少学べるだろうと思ったのも理由のひとつです。

気になった・印象に残った点

共感は「公平な観察者」によって決まる

ちょっと難しい話でしたが、なんとなく理解できました。共感とは、自分の中に存在する「公平な観察者」が決めているということです。人間には色んな感情がありますが、それとは別に「自分を客観的に見ることができる」能力があり、それを経済学者であるアダム・スミスは「公平な観察者」と名付けたのですね。
つまり、その「公平な観察者」がどう思うかによって、物事に対する善悪の共感(世論とか風潮的な?)が決まるのです。例にあった日本の格差社会に関して、受益者と被害者が存在するわけですが、自分がどちらの立場であっても「公平な観察者」によって、受益者への共感が多ければ善、被害者への共感が多ければ悪となるわけです。

利他的になることでエウダイモニア(充実感)が上がる

エウダイモニアは、本来「幸福」を意味するギリシャ語だそうですが、この本では「充実感」として使われていました。
この「利他的になる」は、わかりやすいところでいうと、お金の使い方ですね。通常、お金は自分の欲求を満たすために使うことで、満足度が上がると思われているのですが、実は自分以外のことに使うほうが満足度が高いようです。これは自分でも最近実感するようになりました。子供が生まれ、喜ぶ顔が見たくて、それらにお金を使う。子供以外でも家族や親戚、友人など、自分のこと以外にお金を使い、喜んでもらえたときは「よかったな」と心から思えます。
こういったお金の使い方以外でも、ボランティア活動や被災した人たちへの支援なども同様ですね。



経済的に余裕があるほど幸福度は上がる

世の中経済格差が問題になっていますが、個人個人が感じている幸福度にも影響しているようです。つまり、お金がある(高収入)人ほど幸福度が高く、お金がない(低収入)人は低いということ。こうなる要因としては、お金がある人は将来に希望を持つことができるが、そうでない人は希望を持てない、ということも関係してるそうです。でも確かにそうだと思います。幸福度とか希望って、先が見える(終わりが見える)から感じたり考えられたりするのであって、現状が厳しく、この先もそれが続くとなれば悲観してしまいますよね。
もちろんお金がなくても幸せで希望を持っている人々はたくさんいると思います。ただ、著者の経験からもわかるように「そういう人はたいていお金がある」状態なんだと思います。つまり、余裕があるのです。先日「坂本龍一さんがガンになって気づいたこと」をあるサイトで読みましたが、坂本さんは病床で食べ物のことばかり考えていたそうです。(これは咽頭ガンだからという理由もあると思いますが)ガンになって「音楽をやっていられるのは余裕のある状態」だということを実感したと書いてあり、この章を読んだときに、この言葉を思い出しました。

人は「書かれざる約束」も守ろうとする

かつての日本の象徴だった「終身雇用」についても書かれていました。終身雇用が多かった時代は、会社も社員を簡単には解雇せず、社員もまた簡単には他社へ転職しないというのが一般的でした。しかも、そこには明確な会社と社員の契約が無かったにも関わらずです。つまりそれは心理的契約でしかなかったということ。
心理的契約は終身雇用に限らず、現在の成果主義に基づく契約や、その他どんな契約にも当てはまり、みんなその「書かれざる約束」を守っているのです。ではなぜ心理的契約(法に触れない)にも関わらず、それが守られてきたのか。理由は簡単。他人の目や世間体を気にするからですね。個人的には性善説なども影響していると思います。本の中では「評判を考慮して」と書かれていました。例えば「社員を簡単にリストラしたら会社の評判が悪くなる」など、評判を気にしているのです。つまり「世間の状況」によって、その心理的契約の内容は変わってくるということです。今の時代で言えば、毎年昇給しなくても、経営難という理由で解雇しても「世の中不景気だからしかたないよね」という雰囲気が味方して、評判も落ちないのです。

やる気は「内発的モチベーション」

この章を読む直前にどこかのサイトで「やる気なんて存在しない!」という記事を見ました。それを読んだ時は確かにそうかもと納得していましたが、この章で論理的な説明を読み「やる気」を発生させるきっかけは作れるということがわかりました。まず、やる気(この章ではモチベーションと言っています)を発生させるには、褒めることが大事だということ。ただ、褒めるのではなく具体的に褒める。いい結果を残したなら、そこに至るまでのプロセスや方法、努力を褒めること。褒められて悪い気がする人はそんないませんよね。
また、自分自身の中から湧き出てくる「やる気(内発的モチベーション)」や「やりがい」は、有能感と自己決定感に影響を受けるそうです。つまり、目の前にある課題や問題を処理・解決できたとき、またそれを自分一人でコントロールして達成できたとき、ということです。
それから、リーダーシップとマネジメントの違いについても、今まで混同していましたが、補完的関係であることがわかりました。リーダーシップとは人を誘導し、方向性を決め、それを維持させることで、マネジメントは人を配置し、状況を管理し、目標を達成させることなんですね。

現実の意思決定と最適な意思決定には乖離がある

その理由は2つで、一つは現実性バイアス、もう一つは確実性バイアスだそうです。現実性バイアスがかかるのは、例えば遠い将来の利益よりも目先の利益を優先してしまうことなどですね。確実性バイアスは、人間が不確実性を嫌うことからもわかるように、リスクとリターンの確率がわからない場合と、リスクとリターンが50%ずつだった場合では、後者を選ぶ傾向にあることです。このように、自分では最適解を選んでいるつもりでも、知らず知らずにバイアスがかかり、本当の最適解からは離れていくということを知っておいた方が良さそうですね。

まとめ

読むまでは「行動経済学」の経済について書かれていると思っていたのですが、最後まで読んでみると人間の行動についてがメインでした。つまり、本来の人間が持っている能力とか意識、行動によって経済は動いているので、行動経済学となっているわけですね。経済側に興味があった自分としては、これを知ることができてよかったです。
そして、人は自分が思っているほど合理的ではなく、いかに不合理に行動しているかがわかりました。こういった面を知っておけば、これからのひとつひとつの行動や考えが変わってくるかもしれませんね!

今回の「なるほど、そうだったのね」

男性のほうが女性よりもリスクをとりがちということ。
過去の報酬や交渉に関する実験では、女性のほうが男性よりもリスクや交渉を避ける傾向にあったそうです。社会的に女性の地位と給与が低いのは、こういった性差が関係しているということがわかりました。女性の方が交渉を避けがち、つまり保守的であると見られ、男性の米議員でも娘がいる場合は、より保守的な政策に賛成するというデータも興味深かったですね。
また、男性のほうが自信過剰な傾向にあり、それが株式取引などにも影響しているとのこと。「自分は買い時と売り時がわかっている」と思いがちなんですね。結果は女性よりも悪いのに。。気を付けたいと思います。

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突如「本を読まなければ!」と思い、毎月最低1冊は読むことを決意。そしてこのブログにその本の感想も書くことに。仕事はWeb関係で、好きなジャンルは、経済、金融、投資、科学、アート、デザイン、IT、教育などなど。買う本は1,000円以内と決めています。おすすめの本があったら教えてください。

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