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山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた (講談社+α文庫)

山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた (講談社+α文庫)

この本について

タイトル 山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた
著者 山中伸弥(聞き手:緑慎也)
出版社 講談社
ページ数 208

なぜこの本を読んだのか?

iPS細胞発見によるノーベル賞受賞も記憶に新しい、インテリヤクザ風メガネが印象的な山中先生。以前テレビで密着ドキュメント的なものを見て、意外と面白い方なんだなぁと思い、人物像が知りたくなったので購入です。

気になった・印象に残った点

山中先生はとにかく行動力がすごい!

その研究がしたいがために面接で叫び、履歴書を送りまくって、無い知識も「有る」と言い、アメリカへ渡って研究をする。そんなエピソードを読んで、その思いと行動力は凄まじいと思いました。ウソも方便とか、時にはハッタリも必要とかありますが、まさにそんな感じです。また、アメリカではVW(VisionとWork hard)が大事だと教えられたそうですが、山中先生の勤勉で懸命に働く姿勢は、まさにそれを体現しているように思えます。
途中、プログラミングまでしてしまうエピソードも出てきます。山中先生、すごいです!

仮説を立てる、先生の言うことは信じない

山中先生はこれまでの研究・実験で、以下のようなことを大事にしている(心がけている)とのこと。

  1. 仮説を立てて、それが本当か確かめる
  2. 科学では予想外のことが起きる
  3. 必ず動物実験をして、安全性を確かめる
  4. 阿倍野の犬実験はするな(すでに研究されていないか、真似ごとになっていないか)
  5. 先生の言うことは信じない

1番と5番は、自分の今の仕事にもおおいに当てはまるなと思い、印象に残っています。「こう設計すれば、人はこう行動するだろう」という仮説のもとに、様々なものを作り、そのあとチェック・改善を繰り返していく。5番についても、常に新しい技術・方法がでてくる流れの早い業界では、マストな心得だと思います。



細胞はみんな同じ設計図を持っている

生物の細胞一つ一つは、それぞれみんな同じ設計図(その生物全体を構成するためのもの)を持っており、その設計図にはそれぞれの細胞の構成に必要な「転写因子」と呼ばれる、しおりのようなものがあるそうです。なので、それぞれが神経細胞や心筋細胞になったりできるのだと。分化した細胞が初期化され、違う転写因子のついた設計図を持たせれば、別の細胞になるということ。この「設計図」を例え?にした説明は非常にわかりやすかったのと同時に、ちょっと感動でした。
また、すべての細胞の元となる万能細胞は受精卵だけというのも初めて知りました。今の自分の体が、たった一つの受精卵から出来上がったと改めて考えると「受精卵すげー」って思っちゃいます。

信念を持って取り組む

山中先生は、まだES細胞が注目されていない頃から将来性を感じ、長期の「Vision」を持って研究を続けてきたとありました。これには信念が必要ですね。周りからもあーだこーだ言われますし、自分でも途中で自信を無くしたり。。。
iPS細胞発見以降も、iPS細胞をストックするシステムを作ったり(時間とお金の節約)、企業と連携した研究を行い、薬の高騰化を抑えようとしたりと、長期Visionをお持ちです。こういった方々のおかげで私たちが先進医療を受けられることに感謝ですね。また、iPS細胞は作製が簡単で悪用される恐れもあるそうですが、そういった可能性や倫理観もすべて含めて、治る可能性の患者さんがいる限り「理論的に可能なことは実現する」ことを目指しているそうです。

iPS細胞は再生医療よりも薬の開発に役立てる

iPS細胞はまだまだ再生医療の分野での作製・使用は難しいらしく、どちらかというと「iPS細胞を使って薬を開発する」ことのほうが今はメインのようですね。また、iPS細胞の万能さを一番感じたのは、精子と卵子に分化させ、受精させることが可能という点です。まだ人での成功例は無く、マウスのみですが、万能性、可能性を感じざるを得ません。

ちなみに、ES細胞とiPS細胞は見た目もそっくりで、区別するのは研究者でも難しいそうですが、おおまかな違いは下記のような感じですかね。

ES細胞(Embryonic Stem cell)

人の「胚(受精卵)」から作製するため、倫理的な問題があり、それを他人に使用する場合に拒否反応が出たりする。

iPS細胞(induced Pluripotent Stem cell)

その人の「体細胞」から作製するため、倫理的問題はなく、拒否反応もない。4つの転写因子を与えればできるように、作製が簡単なため、悪用される恐れもある。
日本語では「人口多能性幹細胞」

まとめ

読み始めは、専門用語が多くてわかりづらい部分もありましたが、山中先生の例えや説明が非常にわかりやすく、納得と驚きの連続でした。前半は山中先生の人物像や経歴、後半はES細胞やiPS細胞についての成果・今後について知ることができ、今まで無関心だった科学・医療の分野にとても興味を持つことができました。
山中先生の行動力や、研究や仕事へ取り組む姿勢は見習いたいと思います。

今回の「なるほど、そうだったのね」

研究って、研究者がひとりで黙々とやっているイメージでしたが、意外とその研究室の学生(助手?)の方達の功績も大きいんですね。山中先生も誰々に足を向けて寝られないとおっしゃっていますが、みんなの努力の賜物だと思います。また、研究所などで働いている方は非正規雇用が多いのも驚きました。山中先生はそういった方達も10年単位で正規雇用していくというVisionがあり、広い目で今後の発展を目指しているのは素晴らしいですね。
それからもう一つ。拒否反応が少ないとされるiPS細胞の作製に必要な「HLA型ホモ」と呼ばれる、父と母から同じHLAを受けついだドナーを140人見つけることで、日本人の90%をカバーできるそうですが、こういった事ももっと多くの人に認知されて、自ら検査を受けたりする人が増えるといいですね。

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突如「本を読まなければ!」と思い、毎月最低1冊は読むことを決意。そしてこのブログにその本の感想も書くことに。仕事はWeb関係で、好きなジャンルは、経済、金融、投資、科学、アート、デザイン、IT、教育などなど。買う本は1,000円以内と決めています。おすすめの本があったら教えてください。

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