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楽しく学べる「知財」入門 (講談社現代新書)

楽しく学べる「知財」入門 (講談社現代新書)

この本について

タイトル 楽しく学べる「知財」入門
著者 稲穂健市
出版社 講談社
ページ数 296

なぜこの本を読んだのか?

最近仕事で、意匠権や実用新案のための図面を作成することがあったが、実際それらの目的や違いをわかっていなかったので購入です。この本なら面白く理解できそうだったのも理由のひとつです。

気になった・印象に残った点

著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の違い

簡単にまとめると以下のような感じでしょうか。

  • 著作権・・・・・小説、絵画、音楽などの著作物に関する権利(自然発生)
  • 特許権・・・・・発明に関する権利(国への登録・審査が必要)
  • 実用新案権・・・・・物品の形状や構造に関する権利(国への登録・審査はなし)
  • 意匠権・・・・・デザインに関する権利(国への登録・審査が必要)
  • 商標権・・・・・商品やサービスに付ける営業標識に関する権利(国への登録・審査が必要)

著作権侵害で裁判に勝つのは意外と難しい

著作権の侵害を成立させるには、「依拠性(オリジナルを利用した)」と「類似性」があるかどうか。また、「創作的な表現であり、ありふれた表現でないか?」という点も入ってきますので、非常に複雑で難しい問題になってきますね。
通常、ロゴタイプなどの文字の羅列に著作物性はないとのこと。また、写真に写っている人物の肖像権など、仕事でロゴをデザインしたり、写真素材を探してウェブに使用したりと、知らずに著作権に触れる機会は結構あるけど、なかなかわかってないこと多いです。。。
この本では、三越の包装紙と高島屋の包装紙について書かれていましたが、三越の包装紙は画家の抽象画を転用したので著作権はあるが、高島屋の包装紙は最初から包装紙として作られたので著作権はないということ。なので高島屋が三越を著作権侵害として訴えることはできないんですね。この場合、高島屋の包装紙にあるとすれば、量産できるものに与えられる意匠権だそうです。(意匠権を申請しているかは不明)
この他にもファービィに関する案件なども非常に興味深かったです。
また、著作権侵害ついては映画や音楽の世界ではさらに線引きが難しく、そもそもの音楽の歴史を知っていないと、なかなか判断ができなかったりするようです。



iPhoneとアイホンの商標権問題は特別なスキームで解決

以下のような流れで解決に至ったようです。

  1. Apple社がiPhoneの登録権利をアイホン社へ譲渡
  2. アイホン社が「iPhone」を商標登録
  3. Apple社がアイホン社から「iPhone」の商標使用のライセンスを受ける
  4. Apple社が特許庁に出願人名義変更届を提出しアイホン社に変更される
  5. アイホン社がApple社に「iPhone」の専用使用権をライセンス

4番目と5番目が必要なのかよくわかりませんが、上記のような特別なスキームで双方和解したとのことです。また、使用料は年間約1億円と推測されるとのこと。ただ、カタカナ表記の場合、「アイフォン」ではなく「アイフォーン」になるようですが、これは個人的にモヤモヤします。。。

A-SHOCKからZ-SHOCKまで

商標権の及ぶ範囲は大きく分けて2種類で、同一の範囲か類似の範囲かということ。なので、カシオ社が発売した「G-SHOCK」については、類似品が出回らないように「G-SHOCK」以外にも「A-SHOCK」から「Z-SHOCK」まで、全てを商標登録しているそうです。自社商品やサービス、それらの権利やブランドを守るために、企業も色々と考えて対策をしているんですね。
他にも、こんなの誰が思いつくの?と思うようなものまで抑えている企業もあり、LION(ライオン)社に至っては、「LION」を逆さまにした「NO17」という文字列まで商標登録しているそうで、これには驚きというか感心です。また、商標権の力の及ぶ範囲外であっても、消費者が迷うような紛らわしいものについては、不正競争行為ということで「不正競争防止法」が適用できるということです。それと意外だったのが、「加護亜依」を例に紹介されていた「登録商標が3年以上日本国内で使用されていない場合は取消請求できる」という点ですね。こういうことを知っておけば、早い者勝ちの商標登録でも自分たちに有利に動かせることができます。

特許をとるということ

まず、基本的に超能力などの限定された人間しか実現できないもの、月までのエレベーターなどの壮大すぎる発明も特許は取得できないとのこと。次に、その発明は新しいのかということ。現代では様々なモノで溢れかえっていますので、すでに他の人が発明しているという場合がありますね。そして、その発明は産業上利用できるかということ。そもそも特許は産業の発展を目的としているので、いくら素晴らしい発明でも、限定された人にしか利益がないもは認められないらしく、多くの人にメリットがあり、ビジネスになり、国の発展につながるということが重要ということですね。
また、特許取得時に注意しなければいけないことがあります。特許を取得しようとすると、その発明に関する情報が公開されてしまいます。この情報はどんな人でも見られるので、方法や技術が盗まれてしまうというリスクがあるそうです。実際に他の国が情報を取得し、産業に利用してきたという一面もあるとのこと。なので、特許は取らないけど、自分(自社)のノウハウとして秘密にしている方や企業もあるようで、コカコーラの「コーラの製造方法」がそれに当たるそう。
ちなみに、国内に登録されている特許の約半数が、実際には使われていない「休眠特許」だそうです。

知財リテラシーを高めて財産を保護する

自分、自社の知財を保護するために、特許を取ったり、商標登録したりして独占使用などをしています。そういったビジネスをしているとやはり特許権侵害や著作権侵害で訴訟に発展することもあるそうです。しかし、よく考え、知財に関する知識を持っていれば、実際には侵害していないことも多いとのこと。例えば、特許を取得している発明も、それをビジネスとして利用していなければ特許権侵害にはあたらないそうです。
また、著作権(著作者の死後50年でパブリックドメインとなる)や特許、意匠権などは期限があり、いつかは切れてしまいます。なので、そこへ商標登録(何度でも更新可能)などを組み合わせ、権利を長期化することも、知財を保護する手段として用いられるそうです。

まとめ

この本では、過去の事例をもとに解説されていて、非常にわかりやすかったです。知財を保護し、ビジネスとして使用するにはどうしたらいいか、もし権利を侵害(その逆も)してしまった場合の対処法など、知っていても損はないですよね。最近はどこでもスマホで撮影ができ、写真をアップロード、公開することができます。そういった中で知らず知らずのうちに著作権や肖像権を侵害していることもあると思います。仕事でもクリエイティブなものを扱うことが多いので、こういった権利関係のことを少しでも知ることができたのはよかったです。

今回の「なるほど、そうだったのね」

「正露丸」や「うどんすき」など、普通名称化してしまっている商標権については、他者に使用されたとしても商標権侵害には当たらないというのも興味深い話でした。ちなみに「正露丸」は、日露戦争時代のロシアを征するという意味の「征露丸」からきているとか。また、最近では立体物の商標、つまり「立体商標」も登録できるそうで、ヤクルトの容器の形状や本田のスーパーカブを例に、多くの人に認知され、目印として機能していれば登録されるとのこと。
一番びっくりしたのは、映画「マトリックス」シリーズの監督が、ウォシャウスキー兄弟からウォシャウスキー姉妹に変わっていたということ!!いつのまにか二人揃って性転換していたそうです。。

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突如「本を読まなければ!」と思い、毎月最低1冊は読むことを決意。そしてこのブログにその本の感想も書くことに。仕事はWeb関係で、好きなジャンルは、経済、金融、投資、科学、アート、デザイン、IT、教育などなど。買う本は1,000円以内と決めています。おすすめの本があったら教えてください。

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